ブルーベリー百科

ブルーベリーの種類と特徴

ブルーベリーとは、ツツジ科スノキ属に分類されるアメリカ原産の小果樹です。春にはドウダンツツジに似た白やピンク、淡い黄緑色の花をつけ、夏には美しい藍色と緑のコントラスト、秋には紅葉、冬の枝は赤や黄色となり、春夏秋冬いろいろな美しさを私たちに見せてくれます。

さて、こんなに魅力的なブルーベリーですが、まだまだ知らない人も多いはず。一緒にブルーベリーについて勉強してみましょう。

分類

ブルーベリーはおおまかに3つに分類され、そのうちハイブッシュブルーベリー(以下ハイブッシュ)とラビットアイブルーベリー(以下ラビット)が主に経済栽培されています。もう一つはローブッシュブルーベリーと呼ばれる野生種で、スーパーなどで売られている少し小さめの乾燥果がこの系統になります。ハイブッシュは寒冷地向きで、リンゴ栽培地帯が適地といわれており、当農園で栽培しているのがこの系統です。ラビットは暖地向きの系統で、品質はハイブッシュに比べ少し劣りますが、樹勢が強く豊産性で土壌適応性も強く比較的栽培が簡単であるため、当農園でも試作中です。

栽培品種

当農園では50品種ほど栽培・試作していますが、そのうちのいくつかを紹介します。尚、各品種の収穫時期の記述に関しては、あくまでも当農園を基準にしております。

レカ

ニュージーランドで育成された日本のクリスマス時期に出荷される品種で、果実は大粒で豊産性の品種です。7月上旬から楽しめる極早生品種です。

ノースランド

樹勢、耐寒性が強い品種で育てやすく、果実の大きさは小から中粒の豊産性品種です。最近の品種に比べ果実は小さいですが品質は良く、剪定により結果数を減らせば大きい果実も生産でき、当農園では7月10頃からの収穫となります。

ブルーレイ

7月中旬からの収穫となる中生種で、果実は大粒でやや酸味がありますが味が濃く品質は良好。花蕾は赤く染まり美しく、花は淡いピンク色になり観賞価値が高い品種です。

バークレイ

7月20日頃から収穫できる中生種で、暖地栽培では品質面に問題があるといわれますが、寒冷地での果実品質は非常に良好。果実は大玉で数多くの品種の中でもかなり特徴のある味を持ち、当園の摘み取り体験で最も人気の高い品種。自信を持ってお勧めできる品種です。

ブルークロップ

7月中旬から収穫できる中生種。ハイブッシュブルーベリーの基幹品種であり、現在世界各国で最も多く栽培されています。豊産性で果実は大粒、果実品質も良好。

ジャージー

7月下旬からの収穫となる晩生種で、樹は強健で耐寒性強く育てやすい。ブルーベリー栽培の一時代を築いた古い品種で、果実は小から中粒ですが味は濃厚で品質は良好です。

ルーベル

大玉品種だけがすぐれているわけではありません。ルーベルは小粒種ですが、味・加工適性・樹形管理の容易さとも抜群です。アントシアニン含量も栽培品種中最高です。

以上が当農園で栽培している主な品種ですが、この他にもデューク、ハリソン、ブルーチップ、スパータン、プル、ヌイなど100円玉大の果実をつける品種や、500円玉大となるシェラ、チャンドラーなど、最近話題の大玉品種も試作しております。

栽培管理

ブルーベリーを知るには、自分で栽培してみることが一番。ブルーベリーは果樹の中でも栽培が簡単な部類に入るので、皆さんも栽培してみませんか?

苗木の購入

ブルーベリーの苗の購入についてですが、最近では普通の園芸店でも販売されています。新しい大玉品種等を手に入れたい場合は、大きな苗木専門店から購入しなければなりませんが、専門店の価格はやはり高いです。園芸店では挿し木1年生ものが700円から1500円ほどで販売されており、中にはブルークロップなど標準的な品種も出回っているようなので、一般家庭で楽しむのであれば園芸店のもので充分だと思います。

当園でも苗木や鉢植えを販売しています。ご相談いただければ栽培条件にあった品種をお選びします。

良い苗木の選び方

苗木の選び方に関しては、購入する時期にもよりますがいくつか注意点を挙げておきます。

①根が濃い褐色のものは避ける

ブルーベリーの新根や生育中の根は、半透明もしくは淡い褐色です。生長が阻害されている根は、濃い褐色となりいかにも生気のない色をしています。こういった苗はあまり見かけませんが、ビニール鉢をはずして、根の張り具合を見てみると良いでしょう。

②挿し穂が極端に細いものは避ける

挿し穂が極端に細いもの(4mm以下)は、発根性は良いのですが初期成長が遅れます。挿し穂の太さが5~7mmほどのものが良いでしょう。

③枝が立たずに水平になっているものは避ける

品種によってはどうしても枝が水平に伸び株が開いてしまう品種があるのですが、極端に枝が水平に伸びたものは避けましょう。いずれその枝から垂直に新梢が伸びてきますが、その後仕立てにくいです。

④葉の葉脈間が黄化したものや、斑点等があるもの

葉が黄化したもの赤褐色の斑点等があるものはできるだけ避けましょう。土壌pHが適切でないか、微量要素の欠乏、斑点落葉病等の危険性があります。

⑤挿し穂の各節から枝が伸び、新梢発生が旺盛なものを選ぶ。

上記した①~④について注意すれば、後は自分の見た目で判断するのが一番。いかにも生育が良さそうなものを選んでください。挿し穂の各節から枝がまんべんなく発生し、互いの枝が重ならずに受光態勢のよいものを選ぶとよいでしょう。新梢成長期であれば、淡い緑の新梢が旺盛に生育しているものがよいと思います。

品種の選択

ブルーベリーの品種はかなりの数があります。鉢のラベル裏の説明を参考にするか、事前に書籍等で調べておくのもよいと思います。また、ブルーベリーは一つの品種だけでは実が着きづらく、2品種あったほうが実もたくさん着き、また大粒になります。できれば違う品種を2つ購入するのがおすすめです。以下、一般的に園芸店で見かける品種名をいくつか挙げておきます。また、最近では日本に自生するブルーベリーの近縁種が販売されているようです。それらについても挙げておきますので、コレクションの一つに加えてみてください。
注)ホームセンターなどで販売されているブルーベリー苗は安価でお買い得ですが、品種によって中には違う品種の名前で売られていたり、品種の名前が記載されてなかったり、ハイブッシュがラビットアイだった例があります。確実な品種の苗が欲しい場合は当園や苗木専門店での購入をおすすめします。

ハイブッシュ系統

ジャージー、ノースランド、コリンス、バークレイ、ウェイマウス、ブルークロップ、ブルーレイなど。

ラビットアイ系統

ティフブルー、ウッダート、ホームベル、クライマックス。

ブルーベリーの近縁種

シャシャンボ、クロマメノキ、コケモモ、ナツハゼ

植え付け

植え付けに関しては地植えが最も良いですが、ブルーベリーは浅根性なので鉢植えやコンテナ植えも可能です。ただし、鉢植え等は生育とともに根づまりを起こすので、徐々に大きな鉢に植え換えていく必要があります。やはり、生育の面から言えば地植えが最適です。尚、地植えに関しての個人的な意見なのですが、購入した苗木が1年生の挿し木苗であれば、3年目くらいまでは鉢植えで養生したほうが良いと思います。植えつける苗数がかなり多いのであれば別ですが、1年生苗を露地に植えつけると、雑草に負けてしまったり、ちょっとした時に踏んだり折ったり、草刈機で刈ってしまったり、などいろいろと問題点があるような気がします。

以下にブルーベリーの好む土壌条件、植えつけ方のポイントをいくつか挙げておきます。

土壌条件

ブルーベリー栽培における土壌条件で1番重要となってくるのが土壌pHです。一般的な植物は弱酸性から中性付近の土壌を好むため、栽培するに当たって石灰などで酸度矯正を行うのが一般的です。しかし、ブルーベリーは酸性土壌を好みますので、ハイブッシュ系統ではpH4.0〜5.2ラビット系統ではpH4.5〜5.5が最適pHとなります。したがって植え付けの際は、酸性である無調整のピートモスを植え穴に混和したり、鉢植え用土として用います。一般に日本の土壌は酸性土が多いですが、長年にわたって石灰を投入してきた畑土壌では生育不良となるため、硫黄華等を用いてpHを下げておく必要があります。次に、排水性と保水性に関してですが、ブルーベリーは乾燥に弱いため、保水性が高い土壌が適しています。こういった面からも、ピートモスはブルーベリー栽培に適した用土と言えます。しかし、保水性が高いと言っても常に土壌が湿っていれば良いというのではなく、過湿となれば土壌中の空気が減り根腐れの原因となります。少し矛盾する表現となりますが、保水性が高くかつ排水性、透水性の高い土壌が最適土壌と言えます。したがって、水田転換園やその他過湿となる土壌は、ブルーベリーの生育が不良となる可能性が高いため心土破砕や暗渠、高うね栽培等の対策が必要となります。

植えつけ方

地植え

地植えする場合は、植えつける苗木の根鉢よりも大きめに植え穴を掘り、そこにスコップで1〜2杯くらいピートモス(無調整)を入れます。植え穴の土とピートモスをよく混和し苗木を植えつけます。浅植えを避け、1〜2cmほどのかるい深植えとし、苗が浮き上がらないように軽く手で押して土を固めます。植え付け時期は、落葉後の休眠期(秋期)が一般的です。寒冷地で土壌凍結や積雪の多い地域、乾燥しやすい地域では春植えが適していると言われていますが、寒冷地での秋植えもそれほど問題にはならないと思われます。

鉢植え

一般的にブルーベリーの鉢植え用土として無調整のピートモスが単用でもちいられます。しかし、ピートモスは湿っているときは透水性も良く保水性も良いのですが、いったん乾いてしまうと疎水性(水をはじく)となってしまいます。そこで、ピートモス:鹿沼土の2:1、ピートモス:川砂2:1の用土を用いると、透水性が改善されますのでこういった用土も良いと思いますが、川砂を用いた場合は、鉢が少し重くなりますので管理上少し不便となります。ちなみに市販のピートモスは乾燥した状態で販売されていることが多いです。ピート単用を用いる場合は、ピートモスをしっかり濡らしてから使用する必要があります。植え付け深さ等は地植えと同様に行い、生長と伴に大きめの鉢に植え換えていきます。

ピートモスについて

ピートモスは、ブルーベリー栽培を行うにあたってとても重要な土です。ピートモスには調整済みと無調整のものがあり、調整済みのほうはpHが中性付近に調整してあるものであり、ブルーベリー栽培にはあまり使用しません。商品の袋に特に断り書きがない場合は、無調整と考えてよいと思います。ちなみに、ピートバンやピートブロックなどや、ジフィーポットなどのジフィーシリーズはほとんどが調整済みのようです。産地別に見るとほとんどがカナダ産のようですが、たまに北海道産のピートモスが販売されており、この北海道産ピートは値段が張りますが、質は最高です。

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